営業職としてキャリアを築くうえで、早い段階での資格取得は大きな武器となります。
時間にも心にも少し余裕のある入社3年以内は、まさに資格取得の“ゴールデンタイム”。
ここでは、営業マンが3年以内に取得を目指すべき資格をジャンルごとに紹介します。
英語力を証明するために取得したい資格
営業パーソンとして、今後さらに重要になるのが「英語力」です。
グローバル化が進む現代では、大企業だけでなく中小企業においても海外との取引が増えており、英語を武器にできる営業パーソンの需要は確実に高まっています。
さらに、昇進や部署異動の条件として英語資格を求める企業も増加傾向にあります。
TOEIC(トーイック)
言わずと知れた、ビジネス英語力を測る国内最大級の試験です。
多くの企業が採用時の参考にするだけでなく、昇格・異動・評価基準にも活用しています。
まずは700点以上を目指すことで、「一定レベルの英語力」を証明できます。
- 受験料:約7,810円(2024年現在)
- 試験形式:リスニングとリーディング
- 目標スコア:700点〜800点(業務上の英語使用が可能な水準)
日商ビジネス英語検定
日本商工会議所が実施する実務寄りの英語検定。
ビジネス文書の作成能力やプレゼン資料作成スキルを問われるため、英語でのライティング力を鍛えるには非常に有効です。
- 出題範囲:Eメール文書、ビジネスレター、貿易関連書類など
- 目標級:2級(英文で実務対応ができるレベル)
英会話スクール(ビジネス英会話コース)
TOEICや検定で点が取れても、話せなければ意味がない。
英語でスムーズにプレゼンやディスカッションができるように、スピーキング力の強化も欠かせません。
英会話教室では、ビジネスシーンに特化した表現を反復練習でき、リアルな会話力を鍛えられます。
- 月額:1万〜2万円前後
- レッスン形式:オンライン or 対面、個別 or グループ
- 目標:ビジネスレベルで意見を述べることができるスピーキング力
営業力を数値で証明できる営業系の資格
営業職としてスタートを切ったばかりの3年間は、いわば「土台を固める時期」です。
この期間に営業力を体系的に学び、スキルとして可視化できる資格を取得しておくことは、その後のキャリアに大きく影響を与えます。
ここでは、営業スキルを客観的に証明できる3つの資格をご紹介します。
営業士検定
営業の基礎から応用までを体系的に学べる民間資格です。
3段階に分かれており、入社3年以内であればまずは「初級営業士」の取得を目指すとよいでしょう。
営業理論、顧客対応、プレゼンテーション技法など、幅広い知識が問われる実践型の内容です。
- 実施団体:日本営業士会
- 階級:初級・上級・マスターの3種
- 目標級:初級(基本的な営業知識と倫理を証明)
営業力強化検定
Web受験可能で、全国の営業マンと自分のスキルを比較できる実践的な検定です。
受験後には、営業の強み・弱点がレーダーチャートで視覚化されるため、課題の発見と改善がしやすいのが特徴です。
- 試験形式:オンライン、選択式
- 出題範囲:顧客対応力、プレゼン力、クロージング力など
- 合格基準:正答率70%以上
セールスレップ資格
実務に即した営業スキルとマーケティング知識を兼ね備えた営業人材を育成するための資格です。
特に、メーカー・代理店間の取引を担う営業に強い資格として知られており、販売戦略の立案や提案活動の基礎を学ぶことができます。
- 試験実施:公益社団法人 日本販売士協会
- 等級:3級(基礎)〜1級(戦略立案レベル)
- 目標級:3級(営業活動の基本理解)
専門性を高めて市場価値を上げる業界別の資格
営業という仕事は、単なる「売る力」だけでは成り立ちません。
営業先の業界に関する専門知識を持っていれば、より深い提案ができ、顧客からの信頼も厚くなります。
ここでは、特定分野での営業力を強化するために役立つ資格をご紹介します。
宅地建物取引士(宅建)
不動産業界で営業職に就いているなら、避けて通れない国家資格です。
賃貸契約や売買契約の場面で、「重要事項説明」を行える唯一の資格者として法的に認められている存在です。
資格を持っていれば、営業としての信頼度が一気に高まり、社内でも評価されやすくなります。
- 試験実施:都道府県知事(年1回)
- 合格率:約15~17%
- おすすめ取得タイミング:入社1~3年目でチャレンジ
基本情報技術者試験(FE)
IT系商材やシステム系の営業に関わる人にとっては、業界の共通言語である「ITリテラシー」を証明することが重要です。
この資格では、アルゴリズム、ネットワーク、データベース、セキュリティなど、基礎的なIT知識が求められます。
- 試験実施:IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)
- 合格率:約25%
- 難易度:高め(理系出身者以外は独学+講座受講が推奨)
ファイナンシャルプランナー(FP)
保険・金融・不動産など、個人のライフプランに関わる営業に携わる人におすすめの資格です。
FPの資格は、顧客の将来設計をサポートする立場としての信頼性と提案力を強化できます。
2級FP技能士が最も汎用的で、就職・転職市場でも高く評価されるランクです。
- 試験区分:3級・2級・1級(国家資格)
- 合格率:2級で約30~40%
- 取得目安:2級は3年以内のチャレンジに最適
営業スキルを客観的に証明できる実践系資格
営業マンとしての自信があっても、それを客観的に示す材料がなければ、評価や信頼にはつながりません。
ここでは、営業力そのものを可視化できる資格を厳選してご紹介します。
営業士検定
営業に関わるあらゆる知識とスキルを体系的に学べる検定で、営業職に特化した実践的資格の代表格です。
「初級」「上級」「マスター」と3段階に分かれており、特に初級は社会人3年目以内の若手に最適なレベルです。
- 主催:日本営業士会
- 出題範囲:マーケティング、販売戦略、営業実務など
- 特徴:理論と実践をバランスよく学べる
- 取得目安:3年目までに初級を取得、その後上級を目指す
営業力強化検定(営業スキル検定)
Web受験に対応している、利便性の高い検定です。
営業としての「基礎力」「戦略的思考力」「顧客対応力」などをスコア化して可視化できる点が最大の特長。
結果はレーダーチャートで表示され、自分の強み・弱みを数値で把握できます。
- 運営:一般社団法人営業スキル検定協会
- 合格ライン:正答率70%以上
- 他の受験者との比較データも提供され、モチベーション維持に役立つ
セールスレップ資格
メーカーや代理店など、「流通と販売の間」で活動する営業職に最適な資格です。
顧客側とメーカー側、両方の視点から営業戦略を考えられる力を養えます。
特に、提案型営業やコンサル営業を目指す方におすすめです。
- 試験区分:3級(基礎)、2級(応用)、1級(管理職レベル)
- 主催:日本販売士協会
- 出題内容:営業戦略、販売促進、マーケティングの実践応用
専門分野で差がつく営業職向け資格
営業という枠を超え、特定業界で高い専門性を発揮できる資格を保有していると、市場価値は格段に上がります。
ここでは、不動産・金融・ITなど、営業マンが持っておくと強い専門分野系資格を紹介します。
宅地建物取引士(宅建)
不動産業界で働く営業マンにとっては、言わずと知れた「国家資格」です。
契約時に必要な「重要事項説明」ができるのは、この資格を持った人だけ。
業界内では資格保有者に手当を支給する企業も多く、年収にも直結する武器となります。
- 合格率:約15~17%
- 試験内容:民法、不動産取引、法令上の制限など
- 受験時期:年1回(10月)
- 3年以内に取得できれば、社内での昇進にも有利
基本情報技術者試験(FE)
IT営業職として信頼を得たいなら、この国家資格は必須級です。
システム、プログラミング、ネットワーク、マネジメントなどを幅広く学べます。
特に、クライアントがIT企業の場合や、SaaS・DX商材を扱う営業には強みになります。
- 主催:情報処理推進機構(IPA)
- 試験区分:午前(選択式)、午後(記述問題)
- 合格率:約20~25%
- 若いうちに取得すれば、技術系営業として長期活躍が可能に
ファイナンシャルプランナー(FP)
顧客の資産形成やライフプランをサポートする職種には、FP資格が非常に有効です。
銀行・保険・証券・不動産など、金融知識が求められる業界全般で活用できます。
「数字に強い」「信頼できる営業」としてのポジション確立に繋がります。
- 国家資格と民間資格があり、国家資格は「FP技能士」
- 推奨取得:2級FP技能士以上
- 試験範囲:税金、不動産、保険、年金、相続など
まとめ
営業マンにとって、資格は単なる肩書きではありません。
自分の実力を「見える化」し、キャリアの選択肢を広げるための武器です。
特に入社してから3年以内は、業務の基礎を身につけながらも、自分に投資できる貴重な期間。
このタイミングで資格を取得しておくことで、昇進・転職・独立など、どの道を選んでも強いアドバンテージになります。
今回ご紹介した英語系、営業系、専門系資格は、どれも現場での実務に直結するものばかり。
「忙しいからこそ、時間を効率的に使う」。
そんな学びの姿勢が、数年後のあなたを大きく変えるはずです。
資格取得はゴールではなく、キャリアを切り拓くためのスタート地点。
ぜひ一歩踏み出し、未来の自分に最高の選択をプレゼントしてあげてください。